2017/08/04

3Way 6db/Oct チャネルデバイダー マルチアンプの実験

2WAY 6db/oct チャネルデバイダの実験結果が想像をはるかに超えていて、全くビックリしました。

それに貢献したものを上げてみると

  • 6db/octフィルタ; トランジェントを含む波形の合成が正確
  • CRによる電圧分圧パッシブ型;シンプル、歪、ノイズが少ない。
  • シンプルなシステム構成; DACからスピーカ迄最短
  •   MOJOーー>CRチャネルデバイダーー>HFアンプーー>TD4001
  •                   Lーー>LFアンプーー>TM1201    

が挙げられると考えます。

6db/octのスロープのデメリットとしては必要帯域外のカットが不十分だとか低域大振幅がHFユニットに入るので危険との意見もありますが、ユニットの素直な特性、高耐入力などもあるので、今のところ気にしてません。

という事でNEXT STEPは3WAY化となるわけですが、その前にここでシミュレーションをしておきましょう。



C6,R6でLF/MFのクロスが決定され、C7,R7でMF/HFのクロスが決定されます。
先の2WAYデバイダの実験では1番最初に抵抗がありましたがこちらではコンデンサを先頭に持ってきました。こうするとHFの信号がコンデンサを2回通るので低域では12db/octでカットされるようにできます。全体の和特性は不要なので載せてないですが0dbラインのー直線となり高域迄フラットになってます。

では、6db/octフィルタの特徴であるトランジェント・パーフェクト(Transient Perfect)特性(トランジェントの再合成が完全である。伝達関数=1と同意義)を確認してみましょう。
上段;合成波形(正相加算)
下段;3Way 6db/oct;LF、MF、HFへの分解波形
1KHz方形波の入力をきれいに分解し、再生したら元の波形が再現できてます。正弦波でも入力と同じ波形を正確に再現できます。
一方これまで使っていたバターワース特性12db/octの場合はどうなるか、参考までに同じ方形波入力での応答と合成をシミュレーションしてみました。
上;合成波形(逆相加算)
下、2Way 12db/oct LF、HF波形

こちらは波形合成はうまくできてません、この合成波形は入力周波数によっても大きく変わり、似ても似つかぬ波形が出てきます。周波数軸での特性ではフラットになるにしてもどうにも釈然としない思いがあります。

ということで3WAY CR電圧分割 6db/oct チャネルデバイダができました。

HF出力は3.5mmジャック。MFはRCA端子、LFはXLR

必要な定数を出すために手持ちの部品をかき集めて作ってます。
但しMF出力は本来、バンドパスフィルタ特性であるべきですが、CDホーンなのでHFとのクロス無しでそのままHF帯域迄ストレートに出してます。CDホーンイコライザの代わり。
こうするとMF用アンプは差動入力でなくとも良くなるし、手持ちには2代目の差動入力アンプがないので困っていたところでした。普通のアンプが使えるのはメリット。
ボリュームはツイータのクロスを探るために入れて、クロスは10KHzから20KHzまで可変できるようにしました。
実験機回路 MFはストレート。合成出力Allは高域で上がる。

マルチアンプでのテストは手持ちのアンプを寄せ集めました
テスト風景


  • LFは差動入力のある2SK82サークロトロンアンプでTM1201を。
  • MF用はT2アンプで47uF経由でTD4001を
  • HF用はKenwood KAF7002(50W+50W、6Ω)で18uF経由でパイオニアPT-R9リボンツイータを。


3Wayとしてのレベル調整は格段に難しくなりました。しかし、MOJOは本来ヘッドホンアンプなのでヘッドホンを同時につないで音のバランスを比較調整できるのはいいです。
PT-R9も今までは、お休みしていたようで、今度は積極的に音作りに参加しています。PT-R9の位置はJASのハイレゾマスターサウンドCDにある「三下がり」で合わせました。バイオリンが良いという話もありますがこちらの方が分かりやすい。前後に移動すると面白いように音が変わり、最もバチの音がしっかりハッキリする所にしました。
バックグラウンドのノイズも減った気がしますのでタイミングもあってるのでしょう。
PTーR9のクロス周波数は10Khzから20KHz迄動かしてみましたが音質の変化は良くわかりませんでした。6db/Octだからそう変化は無いのかも知れません。
TD4001+JBL2380ホーンは位置を前後するのは困難なのですができるだけ、ウーファーとの時間差を少なくなるよう前方に出しました。

全体の音はクリアさ、スピード、テクスチャーなどかなりグレードが上がったと思います。

マルチアンプにすると弄る処がかなり増えるのでこれからも色々遊べそうです。

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2017/07/27

クロス可変6db/Oct 2Way CR チャネルデバイダーの実験

お久しぶりです。
このところ、気が乗らずブログの更新をサボっておりました。
でもオーディオの方はSITサークロトロンアンプの改良やKiCadとラミネータ改造でのプリント基板作りなどをやっておりましたので、いずれ機会を見てご報告いたしたいと思っております。

さて、今回のはマルチアンプに必須のクロスオーバー?チャネル・デバイダー?の件です。マルチアンプ用のクロスオーバー・チャネルデバイダーはCR1次にはじまり、DSPを使ったマルチDACに至るまで多種多様で一体どれがいいのか判断に困ります。

これだけ多くのモノが有るというのは要するにどれも完璧ではないという事なのでしょう。
テツが以前にマルチアンプに挑戦したのはバランスLCフィルタを使ったものでインダクターの特性などのせいか良い印象はありませんでした。

この度のチャレンジはCRパッシブ2WAYチャネルデバイダとしました。これは非常に簡単に作れ、帯域外遮断特性を除けば位相特性、波形合成の点において完璧なフィルタ、クロスオーバーになります。
クロスの周波数をボリュームで連続的に変えてベストな位置も探れるようにもしました。

で、出来たのはこれです。

あっけないほどシンプルに出来ました。

入力は3.5mmステレオジャックでChord MOJOから低出力インピーダンスでドライブされます。主要部品としては片チャネルあたりコンデンサ1個と抵抗1個それと2連ボリュームを使っています。高域出力は差動出力とし、XLRコネクタ渡しにしてます。こうすることにより「LPFの入出力の引き算によりHPF;高域信号を取り出している」とみることもできますね。
定指向性ホーンのイコライジングはfoobar2000内蔵の「Equalizer」を使って簡単に済ませました。

テストはメインシステム(TAD TM1201バックロードホーン TD4001ドライバ+JBL2380ホーン)につないでみました。DCカットの為、ホーンドライバは47ufのフィルムコンを経由してます。
ウーファーはT2 25Wアンプ、TD4001は差動入力SITサークロトロンアンプ20Wでのドライブです。
マスターボリュームはMOJO内蔵、高域レベル調整はアンプ内蔵ボリューム、低域はストレートです。

結果はこれまでの想像を色んな意味で超えました。

オーディオはまさにやってみないと分からないですね。
これまで使っていたネットワークはクリアさとトーンバランスで負けました。
ノイズはアンプ直結の超効率120db/Wのホーンでありながら耳をホーンに近づけても全く聞こえません。金田氏をはじめホーン使いのシステムにCRパッシブデバイダのユーザーが多いのも分かります。
クロス周波数はホーンが大き目なので1KHz以下にできるかなと思っていましたが、これを下げると実体感が薄れてきます。そしてこれまでよりも高い2KHzくらいがバランスが最もいいような気がします。これは-6dbスロープなのでホーンとウーファーの再生域の重なりが最も大きくなるあたりです。ここはホーンを使っているマルチアンプの先輩方の情報とは傾向が違っているようです。今後、もう少し聴いて探りを入れてみましょう。
ツイータのPTR-9も追加できるように6dbスロープ3Wayタイプのシミュレーションも終わりましたでそのうちトライしてみましょう。



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2017/06/12

SITアンプ 正負出力段レギュレータボードの設計

2SK70ー2SJ20 SITアンプ用のレギュレータを検討しました。

SITは3極管特性なのでDC電源はレギュレータ供給にし、バイアス印可よりも遅れて出力段電圧を供給するのがいいと思います。

検討した結果、+/-25V、7A 正負レギュレータで同時出力、同時シャットダウン、起動時間は10ms程度の遅延を持たせる回路ができました。
(LTSpiceでのシミュレーション)
右;Dual Regulator
左;DC入力後の正負出力波形。シャットダウンは40-70ms間

肝は、そのままでは自己起動しないCFBレギュレータに、外部からDelayをかけた起動電流を流しこんで目覚めさせるというトリックで左隅の2SK30とCR、ZDがその役目を持ってます。CRでDelay時間を決めます。
出力トランジスタはMOSFETではなく、音が良い気のするバイポーラにして、サンケンのパワーダーリントン2SD2560と2SB1647を起用します。

レギュレータ部回路はこれまでもいくつかのアンプに実装して好結果を得ているので、これで基板を起こしてみます。
基板作りはこれまで色々と頑張っても中々うまくいかなかったのですが、ようやく
Kicadとトナー転写法でめどがつきましたのでやってみます。


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2017/04/30

パワーアンプ電源 製作始めました

半導体パワーアンプ用電源の製作をはじめました。
まだアンプは2SK70/2SK20 SITアンプにするか、またはLateral MOS FETで作るか、それと終段用レギュレータを載せるか、載せないかなど最終形は決めてません。
何にせよDC電源が無いと始まらないので部品を集め作り始めます。

参考にしたのはNelson Pass主宰のFIRST WATTでの標準DC電源です。

このデザインで特徴的なのはAC入力パワーサーミスタ、2巻線の個別整流、平滑はCRCのπ型フィルタです。



トロイダルトランスはコアがEIコアトランスと比べて低周波の大電流で磁気飽和しやすいとの事であり、コアボリュームの大きなVAでは大き目にした方がいいようです。

パワーサーミスタは1次のインラッシュ電流を抑える役目で、常温では10Ω、電流が流れると発熱して低抵抗になり電圧降下が少なくなります。これはA級の様に常時電流を流してないと高温にならないのでAB級ではうまくいかないようです。

センタータップ整流はダイオードブリッジが1個で済むので、電圧降下がその分少なくなりますが、中性線に流れるリップル電流によるIRドロップが上下の整流電圧に加わりリップルが増えるのでこのように中性線のない2巻線整流の方が問題が少ないようです。

CRCのπ型フィルタは抵抗での電圧降下があるけれど、信号電流とリップル電流との混変調やノイズを減らす役割があるようです。

そんなわけで、次のような部品をRSから購入しました。

  • トランス Nuvotem Talema 300VA トロイダル。25Vac 6Ax2
  • パワーサーミスタ EPCOS NTC10Ω
  • 電解コンデンサ  CDE 50V 15000uFx10個
  • 抵抗   0.47Ω2個入り(手持ち)


電解コンデンサは海外Cornell Dubilierのモノで、カタログデータではESRが23mΩと低いこととリップル耐量が8.2Aと大きいので選びました。音質は?ESRやリップル耐量と音質は関係あるとの噂がありますが。やってみないとわかりません。
個数はVolume discount のある10個で調達したので、前が2パラで30,000uF、後ろが3パラで45,000uFにしました。



電解コンデンサを並列にする際、リップル電流を同じく分配するため配線パターンを考慮しなさいという電解コンデンサ・メーカーからの注意事項がありますので、インピーダンスも同時に下げられるよう工夫をしました。

出来たプリント基板のパターンはこちら;


例によってAR CADでパターンの設計をし、下絵を基板に張り付け、穴あけ後、溝をカッター、ルーターで掘りました。2枚あるのは正負で別基板にしたためです。

隣りどおしパターンの絶縁状態確認の後、部品を取り付けました。

全体をとりあえず手持ちPAアンプのケースに収めてます。

DC出力は無負荷で30V出てます、アンプに使えば50W+50Wくらいの出力が出せるでしょう。

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2017/04/24

ヘッドホンアンプ用スイッチングACアダプタ・ノイズフィルタの実験

前回投稿した電源トランスのリーケージ・インダクタンスが引き起こす高周波ノイズの研究の副産物として、

この方法が簡易版ですが;
  • 微小リーケージ・インダクタンスの測定
  • 自己共振周波数の測定
  • スナバ最適ダンピングの決定
  • RF帯LCフィルタの設定
にも使えることが分かりました。

テスト構成をお見せします。
  1. 低周波発振器(1KHz程度、出力2Vpp程度)
  2. オッシロスコープ(200MHz、10M位でもいいみたい)
  3. テスト冶具 下図構成
  4. 正負電源+/-5V程度
基板を起こす必要もないほど部品が少ないのでバラック配線でクリップワイヤであちこち接続してます。

測定したのはサイズの異なる2種類のコモンモードチョークです。コモンモードチョークはコモンモード信号には大きな抑圧ができますが、ノーマルモードノイズに対してはそれほど大きな減衰が期待できないとのこと。又オーディオ用には不向きであるとの噂もあるのでそこらが本当はどうか確かめたいのがありました。
上左よりShffener製チョーク、右;不明、秋葉原店頭で購入
Snubber用100Ω可変抵抗+0.1uF

チョークの片側2端子をショートし、スナバー無しノーマルモードのコイルとして、これらのインダクタンスと自己共振周波数を測定してみると、

コモンモードチョーク大 51uH、2.3MHz
コモンモードチョーク小 22uH、3.5MHz

となりました。

(注;
これらの測定値には種々のストレーキャパシタンスの影響やアマチュアの持ってる校正なしの測定器の使用上、誤差があります。しかし、インダクタンス値はLCRメータで測った値との違いが+1%と+3%でしたのでほぼ正確でした、自己共振周波数はおそらくこれよりは高いでしょう)

コイルのノーマルモードのフィルタ効果をきちんと上げるためには出力にコンデンサを入れ、そして最適な制動をかけないとピークが生じるのでQをコントロールしなければなりません。
今回は小型コイルの方を起用しました。(定格AC1.5A,1.8mHコモンモード)
出力コンデンサCxには手持ちの0.015uFを入れ、これで共振周波数は扱いやすい270Khz迄下がりました。続いて、スナバ抵抗の最適化を半固定抵抗を回して行い32Ωが最もリンギングが少なくなったので33Ωにしました。

最適化したコモンモードチョークはそのままでLCフィルタに使えます。

このフィルタを入れるのはSITヘッドホンアンプ(暮れのお寺大会出品)で、スイッチングレギュレータ式ACアダプタ付の、これまでも何度か改修で音質改善をしてきたものです。

アンプ部はSIT(VFET)ソースフォロア1段なので特にいじる所はなく、もっぱら電源のノイズ対策を行ってきて、残留ノイズは測定限界3.8uv以下迄下がり、これ以上の改善は困難と思っていました。

ACアダプタのノイズ測定

この電源には24V1A出力ACアダプタ(秋月販売品)を使ってます。

ヘッドホンアンプにつないで0.26A流しているときのACアダプタのノイズは見てのとおり

スパイクノイズがひどいものです。

周波数63.2Khzでスイッチングの反転タイミングと思われる140mVp-pのスパイクノイズがあります。

これを更に拡大してみると
周波数が16.5MHzのリンギングが確認できました。

フィルタの実装

最終的に組み込むフィルタは下図になりました。
DC入力ノイズフィルタ
DC入力の所に積層セラミック0.1uFを入れ、次にコモンモードチョーク、出口にダンピングをチューニングしたスナバ・ネットワーク、これでコモンモードフィルタに加えノーマルモードでも270Khzの2次ローパスフィルタになりました。


部品は手持ちの関係で有り合わせのモノを使いました。
DC入力部

結果
プローブにグランドクリップ

スパイクノイズは2mVppとかなり小さくなりました。水平線も細くなりノイズフロアが下がっているようです。

このSITヘッドホンアンプの音をMOJO入力のSony MDRーZ1000で聴いてみました。
ノイズフロアーが下がると実感できる、透明さ、楽器のニュアンスがクリアになり、低音楽器や暗騒音が浮かび上がる感じがします。特にハイレゾ音源ではこの傾向がよくわかります。
このアンプにはレギュレータも入ってますが高周波ノイズは
素通りなので、きちんとRFのフィルタリングもしないといけないようです。



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