2017/06/12

SITアンプ 正負出力段レギュレータボードの設計

2SK70ー2SJ20 SITアンプ用のレギュレータを検討しました。

SITは3極管特性なのでDC電源はレギュレータ供給にし、バイアス印可よりも遅れて出力段電圧を供給するのがいいと思います。

検討した結果、+/-25V、7A 正負レギュレータで同時出力、同時シャットダウン、起動時間は10ms程度の遅延を持たせる回路ができました。
(LTSpiceでのシミュレーション)
右;Dual Regulator
左;DC入力後の正負出力波形。シャットダウンは40-70ms間

肝は、そのままでは自己起動しないCFBレギュレータに、外部からDelayをかけた起動電流を流しこんで目覚めさせるというトリックで左隅の2SK30とCR、ZDがその役目を持ってます。CRでDelay時間を決めます。
出力トランジスタはMOSFETではなく、音が良い気のするバイポーラにして、サンケンのパワーダーリントン2SD2560と2SB1647を起用します。

レギュレータ部回路はこれまでもいくつかのアンプに実装して好結果を得ているので、これで基板を起こしてみます。
基板作りはこれまで色々と頑張っても中々うまくいかなかったのですが、ようやく
Kicadとトナー転写法でめどがつきましたのでやってみます。


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2017/04/30

パワーアンプ電源 製作始めました

半導体パワーアンプ用電源の製作をはじめました。
まだアンプは2SK70/2SK20 SITアンプにするか、またはLateral MOS FETで作るか、それと終段用レギュレータを載せるか、載せないかなど最終形は決めてません。
何にせよDC電源が無いと始まらないので部品を集め作り始めます。

参考にしたのはNelson Pass主宰のFIRST WATTでの標準DC電源です。

このデザインで特徴的なのはAC入力パワーサーミスタ、2巻線の個別整流、平滑はCRCのπ型フィルタです。



トロイダルトランスはコアがEIコアトランスと比べて低周波の大電流で磁気飽和しやすいとの事であり、コアボリュームの大きなVAでは大き目にした方がいいようです。

パワーサーミスタは1次のインラッシュ電流を抑える役目で、常温では10Ω、電流が流れると発熱して低抵抗になり電圧降下が少なくなります。これはA級の様に常時電流を流してないと高温にならないのでAB級ではうまくいかないようです。

センタータップ整流はダイオードブリッジが1個で済むので、電圧降下がその分少なくなりますが、中性線に流れるリップル電流によるIRドロップが上下の整流電圧に加わりリップルが増えるのでこのように中性線のない2巻線整流の方が問題が少ないようです。

CRCのπ型フィルタは抵抗での電圧降下があるけれど、信号電流とリップル電流との混変調やノイズを減らす役割があるようです。

そんなわけで、次のような部品をRSから購入しました。

  • トランス Nuvotem Talema 300VA トロイダル。25Vac 6Ax2
  • パワーサーミスタ EPCOS NTC10Ω
  • 電解コンデンサ  CDE 50V 15000uFx10個
  • 抵抗   0.47Ω2個入り(手持ち)


電解コンデンサは海外Cornell Dubilierのモノで、カタログデータではESRが23mΩと低いこととリップル耐量が8.2Aと大きいので選びました。音質は?ESRやリップル耐量と音質は関係あるとの噂がありますが。やってみないとわかりません。
個数はVolume discount のある10個で調達したので、前が2パラで30,000uF、後ろが3パラで45,000uFにしました。



電解コンデンサを並列にする際、リップル電流を同じく分配するため配線パターンを考慮しなさいという電解コンデンサ・メーカーからの注意事項がありますので、インピーダンスも同時に下げられるよう工夫をしました。

出来たプリント基板のパターンはこちら;


例によってAR CADでパターンの設計をし、下絵を基板に張り付け、穴あけ後、溝をカッター、ルーターで掘りました。2枚あるのは正負で別基板にしたためです。

隣りどおしパターンの絶縁状態確認の後、部品を取り付けました。

全体をとりあえず手持ちPAアンプのケースに収めてます。

DC出力は無負荷で30V出てます、アンプに使えば50W+50Wくらいの出力が出せるでしょう。

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2017/04/24

ヘッドホンアンプ用スイッチングACアダプタ・ノイズフィルタの実験

前回投稿した電源トランスのリーケージ・インダクタンスが引き起こす高周波ノイズの研究の副産物として、

この方法が簡易版ですが;
  • 微小リーケージ・インダクタンスの測定
  • 自己共振周波数の測定
  • スナバ最適ダンピングの決定
  • RF帯LCフィルタの設定
にも使えることが分かりました。

テスト構成をお見せします。
  1. 低周波発振器(1KHz程度、出力2Vpp程度)
  2. オッシロスコープ(200MHz、10M位でもいいみたい)
  3. テスト冶具 下図構成
  4. 正負電源+/-5V程度
基板を起こす必要もないほど部品が少ないのでバラック配線でクリップワイヤであちこち接続してます。

測定したのはサイズの異なる2種類のコモンモードチョークです。コモンモードチョークはコモンモード信号には大きな抑圧ができますが、ノーマルモードノイズに対してはそれほど大きな減衰が期待できないとのこと。又オーディオ用には不向きであるとの噂もあるのでそこらが本当はどうか確かめたいのがありました。
上左よりShffener製チョーク、右;不明、秋葉原店頭で購入
Snubber用100Ω可変抵抗+0.1uF

チョークの片側2端子をショートし、スナバー無しノーマルモードのコイルとして、これらのインダクタンスと自己共振周波数を測定してみると、

コモンモードチョーク大 51uH、2.3MHz
コモンモードチョーク小 22uH、3.5MHz

となりました。

(注;
これらの測定値には種々のストレーキャパシタンスの影響やアマチュアの持ってる校正なしの測定器の使用上、誤差があります。しかし、インダクタンス値はLCRメータで測った値との違いが+1%と+3%でしたのでほぼ正確でした、自己共振周波数はおそらくこれよりは高いでしょう)

コイルのノーマルモードのフィルタ効果をきちんと上げるためには出力にコンデンサを入れ、そして最適な制動をかけないとピークが生じるのでQをコントロールしなければなりません。
今回は小型コイルの方を起用しました。(定格AC1.5A,1.8mHコモンモード)
出力コンデンサCxには手持ちの0.015uFを入れ、これで共振周波数は扱いやすい270Khz迄下がりました。続いて、スナバ抵抗の最適化を半固定抵抗を回して行い32Ωが最もリンギングが少なくなったので33Ωにしました。

最適化したコモンモードチョークはそのままでLCフィルタに使えます。

このフィルタを入れるのはSITヘッドホンアンプ(暮れのお寺大会出品)で、スイッチングレギュレータ式ACアダプタ付の、これまでも何度か改修で音質改善をしてきたものです。

アンプ部はSIT(VFET)ソースフォロア1段なので特にいじる所はなく、もっぱら電源のノイズ対策を行ってきて、残留ノイズは測定限界3.8uv以下迄下がり、これ以上の改善は困難と思っていました。

ACアダプタのノイズ測定

この電源には24V1A出力ACアダプタ(秋月販売品)を使ってます。

ヘッドホンアンプにつないで0.26A流しているときのACアダプタのノイズは見てのとおり

スパイクノイズがひどいものです。

周波数63.2Khzでスイッチングの反転タイミングと思われる140mVp-pのスパイクノイズがあります。

これを更に拡大してみると
周波数が16.5MHzのリンギングが確認できました。

フィルタの実装

最終的に組み込むフィルタは下図になりました。
DC入力ノイズフィルタ
DC入力の所に積層セラミック0.1uFを入れ、次にコモンモードチョーク、出口にダンピングをチューニングしたスナバ・ネットワーク、これでコモンモードフィルタに加えノーマルモードでも270Khzの2次ローパスフィルタになりました。


部品は手持ちの関係で有り合わせのモノを使いました。
DC入力部

結果
プローブにグランドクリップ

スパイクノイズは2mVppとかなり小さくなりました。水平線も細くなりノイズフロアが下がっているようです。

このSITヘッドホンアンプの音をMOJO入力のSony MDRーZ1000で聴いてみました。
ノイズフロアーが下がると実感できる、透明さ、楽器のニュアンスがクリアになり、低音楽器や暗騒音が浮かび上がる感じがします。特にハイレゾ音源ではこの傾向がよくわかります。
このアンプにはレギュレータも入ってますが高周波ノイズは
素通りなので、きちんとRFのフィルタリングもしないといけないようです。



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2017/04/21

電源トランスが出す高周波ノイズ!!を黙らせる。スナバの研究

このところスピーカのクロスオーバーなどを色々調べていると、オーディオの音を悪くする大きな問題の中に、共振(Resonance)があることに今さらながら気づきました。

共振はオーディオでは3種類の異なったものがあり、それらは、発振、リンギングと称される電気的共振、そして機械的振動になる機械的共振、そして最後に音としての音響的共振です。
レベルが大きいとボーン、ウーン、カーン、ピーン、キーン、シーンと聞こえますがオーディオ帯域外だったり、オーディオ帯域内でもレベルが相対的に小さいと気づきにくく、信号との相互作用を含め、直接に信号を汚したり、ノイズフロアーを上げて微細信号をマスクしたりと悪さをしてます。

兎に角、これは非常に広範囲なテーマなので全部を一度に網羅することは困難だし、さらなる研究が必要でしょう。

さて、そんな中から、テツが今注目しているのは、電源の整流ノイズです。

USにDiyAudioというサイトがありますが、日本国内では取り上げてないテーマについても、理論と実践により深く掘り下げているので、よく参考にさせていただいています。

そこで注目したのは「整流回路が引き起こす高周波のリンギングをトランスに最適なスナバーをいれて止める方法」です。
Simple, no-math transformer snubber using Quasimodo test-jig

このノイズは整流ダイオードがオフになった後、トランスのインダクタンスと巻き線間ストレーキャパシタンスが共振を起こし数百Khzから1MHz程度のノイズをまき散らす、というもので、海外ではずいぶん前から注目されているようです。

このノイズは電源サイクルに合わせて1秒に100回とか120回とか放出される強力な高周波であり、電波になる高い周波数なので飛びつきや混変調を引き起こす筈です。

という訳で、どの程度の問題なのか、そしてその対策を実験して調べてみました。

テスト方法
整流回路を模したダイオードスイッチでトランスの電流を切った時起こるトランジェントを観測し、スナバで止められるかをみる。

シミュレーション(回路と結果)


この回路では通常R2とD1を介して0.1A程度のDC電流を流しておきます。オッシレーターからの入力でMOSFET,M1がオンになると、D1に流れる電流が止まり、その後、蓄積されてたエネルギーがL1、C1の周波数で共振を起こします。

実測
テストに先立ってトランスの1次側はショートします。

テスト対象;
300VA、1次100VAC、2次0-28VAC*2 カットコア トランスの2次側巻き線

テストポイント波形(0.015uFコンデンサを並列)
上;MOSFETのゲート電圧。下;テストポイント(トランスの2次側)

テストポイント波形拡大 

135Kzのリンギングを観測(0.015uF無しでは1.1MHz)
上の図を拡大
 更に120Ω+0.1UFのスナバーを追加。リンギングは消滅。
スナバを追加。

スナバ(黙らせるの意味)を最適にすればこの問題を解決できることが分かりました。

このスナバは0.015uFのコンデンサ(Cx、回路図でのC3)と0.1uFと120Ω直列のCRで構成しました。(最適ではないけどそれに近いです

このCxはなくとも直列CRだけでスナバ効果を発揮しますが、Cxを入れることにより共振周波数を1桁は下げられるのでスナバの効果をより高めます。

更に新発見ですがこのCxをいれたスナバはトランス1次からのAC入力のLow Pass Filterになっています。
AC入力のフィルタ効果;12db/oct、Fc160KHz

トランスのインダクタンスも効果的に使ってAC入力からのノイズ・フィルタリングにもなるのはいいですね。オーディオの全ての電源トランスにいれたいです。

市販のスパークキラー(通常0.1uF+120Ω)もそのまま使えそうですので入手してみます。最適ダンピングを調べたら結構低抵抗(10から50Ω位)なので残念ながら、スパークキラーは合わないです。Cx用は高周波用のポリプロピレンフィルムコンデンサがいいでしょう。ASCX363が個人的には気に入ってます。

それと、ついでですから色々なインダクターとトランスについて自己共振を調べました。
測定回路は同じで200MHzオッシロでリンギングのピークを合わせて周波数を測定してます。

測定物(RSの300VAトロイダルは写真には無い)

上左よりノグチ小型トランス、カットコアトランス、EIコアトランス
空心コイル0.3mH、空心コイル0.68mH、空心コイル、薄型トロイダル240VA

測定結果

これらから、傾向は

  • RSトロイダルトランス、カットコアトランス(Kenwoodの送信機用)はLもCも少なく、自己共振が1Mhzを超えている。
  • 一方EIコアトランスはLもCも大きいので自己共振周波数が低い。
  • 空心コイルも測定できる、自己共振は500KHz辺りにあるのでオーデイオ帯での使用に心配はいらない。
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2017/04/05

TAD TM1201+TD4001 ホーンシステム再調整

少し前になりますが、お彼岸に田舎に行ってきました。
墓参りが主目的でしたがPCとMOJOを持っていき弟のオーディオシステムでどんな音が出るのかを一緒に確認しました。そのシステムはパイオニアのM90(200W+200W)をパワーアンプに私が自作したコーラルの25cmダブルウーファーでHFがJBL 2405のバーチカル・ツインを鳴らしてます。高低バランスのチユーニングやセッティングを調整したのち、田舎だと誰からもクレームは来ないので大音量でのリスニングになりました。
これまでは聴いてたソースも機材も古くなってるので余りいい印象はもっていませんでしたが、いざ高音質のハイレゾソースを等音大?で鳴らしてみるとボーカルもキッチリ定位し目の前にステージが現れて歌い手も手に触れられそうで、弟もコレは凄い、違反行為だという始末。 仔細に聞くと音は荒っぽいのですが高音域にJBLのホーンの煌めきがあり、背面のセンターバスレフポートからのたっぷりした低音が雰囲気を盛り上げています。スピーカの前で頭を上下に動かしても音色は大きく変化はしませんでした。バーチカルツインウーファー構成もミッドレンジの迫力を増しているようです。
70-80年代でもオーディオのハードウエアの技術は既にかなりのレベルに達していたのですね。

さて私のシステムもMOJOが来てからホーンをJBL 2380にしコンプレッション・ドライバをTAD TD4001に変えてサウンドレベルの向上がありましたが、弟のシステムと比べるとどうも低中音の迫力が出せてない気がしました、クロスオーバーの問題がありそうです。
HFのホーンとドライバを交換しても調整はATTを弄っただけなので其れもそうだろうとクロスオーバーの見直しをはじめました。

クロスーバーの基本回路はAltecの同軸604系に範をとった、LF側12db/oct、HF側変則18db/octです。

先ずはインピーダンス特性をLIMPで確認します。基準抵抗はDALE NS2B 100Ω 1%です。


LF用 TM-1201+バックロードホーンでは26Hz,77Hz、130Hzあたりにピークがありますがホーンでの反射でしょう。高域のインピーダンス補正用Zobelを入れると。。。

クロスオーバー以上のレベルをきちんと下げるためにインピーダンスをフラットにしました。1KHz付近は7.8ΩとなっていてこれまでもLPF特性の邪魔はしてなかったようです。


続いてHF側TD4001のインピーダンス。HF側はこれまで実測したことが無かったので丁度いい機会です。

こちらは私の想像を超えた特性!、インピーダンスのピークが大小7個ほど見えます、これらもホーン開口端での反射です。TD4001の公称インピーダンスは16Ωですが実測インピーダンスは10Ωー29Ωの範囲で大きく変動しています。
このままでは補正無しでは使えません。しかしATTはこれまでの設定から抵抗Lpadでー8db程度落とすので、その場合3Ω程度でTD4001をシャントすることになるので、この問題はかなり小さくできます。ダンピングを高めるにはオートトランス式ステップダウンアッテネータもありますが,測ってみたら10KHz以上でレベルが落ち始めるのでこの用途では使えません。

最終クロスオーバー回路


合成特性がスムーズになる様にLT-SPICEでパラメータを色々と弄りました。
Altec604用ネットワークは定指向性ホーン(CDホーン)用のイコライザで高域のブーストを18db/oct・HPFの様な回路で実現しています。604はそう変な音がしないのでこの方式でいいでしょう。
結果は、この回路で1.3KHzクロス、逆相接続-4dbになりました。
C37 0.33uFはノッチフィルタでホーン反射の最低周波数270Hzに合わせました。
それと高域を少し上げるCDホーン・イコライザ効果もあります。

これに至るまで、2次HPFなどもシミュレーションしてみましたがキレが悪いのと、HPFの出力インピーダンスが3次よりも高く、HPFは3次にしました。
音は中低域が力強くなったようです。上下位置での音質変化を確認するためスクワットを繰り返しました。これまで聴取位置の左右移動での音質変化は少なかったのですが上下(縦)方向の音質・音量変化も少なくなり均一になったようです。

音圧周波数特性測定はまだですが、以前測定してることもあり、とりあえずこれでいいかなと思ってます。
タイム・アラインメントもした方がいいのでしょうが、デジタルディレーが使えるDSP 方式によるバイアンプにするときに考えましょう。

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